ブックタイトルMedetta! Vol.19 2017. Winter 電子版
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Medetta! Vol.19 2017. Winter 電子版
津金のリンゴを使った、ホワイトチョコのケーキ。時期によって旬の果物を使用する。自家農園も手掛け、素材を大切にするKIVISの味をコーヒーとともに。人通りが少なくなっても、甲府を訪れる人に幸せであってほしいと願うマスター。その優しさはコーヒーに現れる。ウインナーコーヒーは優しくホイップしたクリームを別添えで。古道具の什器に、さまざまな本が並ぶ。腰を落ち着けてつい長居をしたくなる空間だ。KIVISはカフェでもなくレストランでもない、喫茶店である。出しているコーヒーは「バランス」「酸味」「ビター」の3種類。その潔さが清々しい。ビターはアイスとホットが選べる。豆の産地ではなく味の特徴でコーヒーをセレクトできるのだ。バランス、酸味は中~深入り、ビターは深入りで焙煎されたもの。その時々の気分や読みたい本と合わせてコーヒーの味を選んでみよう。店名のKIVISとは足の「かかと」を指す言葉から。踵(きびす)を下げて一休み。かしこまらずに自然体でコーヒーを楽しむ。そうしたらまた、踵を上げてそれぞれの日常へと歩き出す。日々のバイタリティを養うのにはゆっくりと流れる時間が必要だ。うってつけの喫茶店が山梨県笛吹市の一宮町にあった。「ダンを知らずして甲府は語れない」とシティボーイおじさんが言った。1972年から甲府の街角にある喫茶店である。店内はピアノジャズが流れ、ホワイトシャツをパリッと着こなすマスターがカウンターに立つ。頭の中に思い浮かぶ憧れの喫茶店。流行なんて関係なく、ただひたすらに美味しいコーヒーを淹れる。マスターはお茶のようにコーヒーを「立てる」と表現する。飲んだときの口当たり、後味のキレを追求したベーシックブレンドは雑味がなく染み渡るような美味しさと香りが広がった。焙煎の良さをフルに活かしたコーヒーだ。豆によって今なお日々改良を重ねる。終わりはないのだ。「コーヒーは喉を潤すドリンクとは違い、人の心を潤すもの。まるでジャズのようにね」キザなセリフも嫌味なく、ダンのコーヒーのようにスッと体に入ってきた。マスターは真のシティボーイだ。コーヒーで旅の印象は変わる。そんな至福の一杯を。DANダン珈琲店きびすを下げて、コーヒーとともにひと休み。喫茶KIVISKIVIS68