ブックタイトルほぼハッピーマガジン Medetta! Vol.005 電子版

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ほぼハッピーマガジン Medetta! Vol.005 電子版

 常連客にも手伝ってもらいながら、自分で手づくりした念願の店は、齊藤さんの遊び心があふれ、まさに齊藤ワールド全開だ。「大工になりたかった」という齊藤さんが、寿司屋からもらったイスにビー玉を入れこんだり、蛇口をランプにしたり、丼をランプシェードにしたり、キリン柄やレンガ柄のストーブがあったり、奇抜なアイデアを見ているだけでなんだかワクワクしてくる。「店は自分の好きなものだらけですから。休みの日でもここにいたいぐらい(笑)」。 メニューにも遊び心がいっぱい。スープにキムチとマヨネーズが入ったラーメンは、「キムラマヨラ」、揚げ(上げ)と大根おろし(下ろし)で「エレベーター」など、ネーミングもおやじギャグ(失礼!)満載。「お客さんがこのメニューなにって聞いてくれるでしょ。そこからお客さんとの会話がはじまるんです」。 また、屋台時代からある「裏メニュー」もポイント。メニューとは別に、かわいい豆本に書かれた「裏メニュー」があり、実は誰でも頼めるものだが、常連気取りでオーダーしたいときに役立ってくれる。デートでかっこつけたいときの必殺アイテムだ。「ラーメンを食べずに、お酒とつまみだけの人もいますよ。昔はラーメンで勝負しようと思ったけど、今はお客さんが楽しんでくれればそれでいい」。 部活帰りにラーメンを食べる高校生がいたり、居酒屋のように利用する若者やサラリーマン、ご近所の年配客がいたりと、幅広い世代の客がいろんなシチュエーションで使えるのも、この店の魅力。カウンターに座ってひとりでお酒を飲むのが気恥ずかしい女子も、ここの屋台でならひとり酒デビューができそう。常連さんが地方へ転勤してもわざわざ会いに来てくれるんです。それがうれしくてね    遊び心あふれる空間&メニューAbout Shop「MENKUI」は2000年に屋台のラーメン屋としてスタートした。店内の屋台は齊藤さんが自分でつくり、実際に使っていた当時のもの。齊藤さんは実家の豆腐屋で働いていたが、自分で飲食店をやりたいと志し、独学で山梨ではまだ珍しかったとんこつ醤油のラーメンを屋台で出すようになった。場所は昭和町清水新居、国母工業団地のほど近く。「とくに宣伝はしませんでしたが、美容師さんをつかまえて食べに来てもらいました。美容師さんなら、美容院のお客さんに宣伝してくれると思いましたから」と齊藤さん。その甲斐あってか、店の噂はクチコミであっという間に広がり、たちまち常連客でにぎわうようになった。 買い出し、ラーメンの仕込み、屋台の設営、掃除などなど、睡眠時間も満足にとれない忙しい日々が約4年続いたが、あるとき屋台を出していた場所が使えなくなり、急に店じまいとなった。「こつ然と消えたもんで、インターネットやクチコミで常連さんたちが探してくれたみたいです」。 その半年後の2004年の年末、屋台から今の店へと場所を移し、再スタート。この店を探しあてた屋台時代の常連客が、今でも通ってくるんだとか。はじまりは屋台のラーメン屋Open Story「いやあ、うちの店だけで4ページ? いいのかなあ。カッコイイことひとつも言えないけど」と、初対面なのにまるで飾り気のない店主の齊藤健さん。見た目は昔からテレビCMに登場する桃屋「ごはんですよ!」の黒縁メガネのキャラクターにそっくりで、初対面なのにどうにも懐かしい。早くも「MENKUI」ワールドに引き込まれている自分がいた。店主・齊藤健さん(右から2人目)と常連客のみなさん10